凸凹な空気

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レイキャヴィークにおける給湯(1)

 アイスランドの首都、レイキャヴィーク。ここレイキャヴィークでは、ホテルでも一般住宅でも、給湯の蛇口を開けると硫黄を含んだ温泉の「におい」がするお湯が出てくるんですね。日本の温泉地・・・硫黄泉(含硫化水素泉)で経験することのある、よく「タマゴが腐ったような」と表現される、アレですよ。
(「におい」そのものは硫化水素のもの)
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これを知らずにお湯の蛇口を開けた旅行者は、きっとそのニオイに驚くことでしょうね、温泉が出てきている!なんて。実際、ガイドブックとか旅行案内書とか、そして旅行者が書きつづった紀行文とかWeb上の書き込みにも「温泉が供給されている」というようなことが書かれているものが多いようですね。私自身も、そういったガイドブックetc.を事前に読んでいたから、「レイキャヴィークではどこでも温泉!」という期待もあったりして、宿のシャワーから硫化水素臭のある温水が出てきても驚きはしなかったけど、温泉が各戸に配湯されてるなんてすごいな、なんて思っていたりしたもので。何がすごいかって、温泉のお湯を街から離れた源泉から延々と引いてくる・・・ってのは、日本でもよくある話だけど、日本の場合は限られた温泉浴場(旅館とか公衆浴場とか)の「浴室」に給湯するのみで、住宅の各戸に供給するということがあったとしても(温泉付きマンションとか)、それは極限られた範囲のみであって。レイキャヴィークのように、かなりの広範囲に供給するというのは例が無いんじゃないかなぁ?
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特に、硫化水素のニオイのする「温泉」を供給する際の課題の克服が簡単なモノではないと思うんですよね。草津温泉の湯畑に沈殿している「湯ノ花」、そのままだと湯ノ花で温泉が流れなくなってしまうから、ときどき「清掃」してますよね。清掃とは言わず、湯ノ花の採取、と言ってるのかもしれないけれど。その湯畑のように、硫化水素臭のする、硫黄を含んだ「温泉」を流すと、沈殿物「湯ノ花」で配管がいとも簡単に閉塞してしまうわけで、特に給湯配管が細い住宅内ではそれが顕著ではないか、と。それと、そのような温泉の浴場でよくみられる、黒く錆びた蛇口・・・温泉に含まれる酸性ガスのせいなのか、それともお湯が酸性のためなのか、これらの両方が原因となっているのか、金属製の配管器具の腐食が顕著なわけですが・・・この配管器具腐食については、レイキャヴィークの場合、皆無であってシャワーも洗面所のお湯の蛇口も、錆は一切無くピッカピカ。そんなわけで、温泉を供給しているとしても、何か手を加えているのは明らかなんだけど、実際にどんなことをやっているのかというと、これが謎だったんですよねぇ(^^;。ガイドブックはもちろん、現地の案内パンフにも給湯の詳しいしくみまでは書かれていないし、帰国後にWebを検索してもそれらしい記述にはめぐり会えず、しばらく謎のままだったんです。
ところが、こんなブログ(^^;をやっていたおかげで、アイスランド好きの先輩にあたる某氏から、レイキャヴィークの給湯システムについての日本語の資料(学会誌。その名も「地熱」を抜粋したもの)をいただくことができまして、これがきっかけで、その「謎」がほぼ解明できた次第で・・・ほんとに有難いことです。
某氏がこの記事を読んでくれていることを期待して・・・

資料の提供、どうもありがとうございますm(__)m。


で、その謎の結論を申しますと・・・


レイキャヴィークのお湯は温泉ではありません!



では、なぜ硫化水素臭が?については、また次回に。


※けど、温泉風味のシャワーって・・・気持ちいいというよりも、なんか奇妙な感覚(^^;。