凸凹な空気

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地宙船

今回も先日開業した副都心ネタです。
副都心線の渋谷駅のシンボリックなオブジェクト、「地宙船」。開業前から各メディアで報道され・・・やはり、土木・建築の業界ではかなり有名な存在のようですね。実は"新"渋谷駅開業後、これが実際どんなふうに利用者の目に写るのかも楽しみだったのです。安藤忠雄氏によるデザインの地宙船、詳しくは各メディアの報道に譲ります(各検索エンジンで無数にヒットします)。

地宙船のイメージ模型↓

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卵型の宇宙船・・・(というより葉巻型UFO?!)が地下に浮かぶイメージなんだそうで。
この巨大オブジェクト、実際はどうなっているかというと・・・

目の前にど~んと姿を現すタマゴ型地宙船!!

・・・ということはなく、意識して見ないとそんなイメージコンセプトで作られていることを見逃してしまいそうです。地宙船のことをあらかじめ知っていないと、このデザインの意味もわからないでしょうね。なんだかちょっと拍子抜け(^^;。もっとも、単なるオブジェクトではなく、このタマゴ型イメージの内部にも通路・エスカレーター等々が配置されているわけで、その中に入ってしまうと、その独特のイメージもわかりにくい・・・という感じなのです。

https://blogs.yahoo.co.jp/IMG/ybi/1/28/c9/yama2005_04/folder/1494438/img_1494438_53715241_5?1213549080

吹抜け部分から、タマゴ型のイメージが見えている部分を撮ってみました。青枠で囲まれている所が「それ」です。わかりにくいよなぁ・・・


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プラットホーム階にて。こちらも、青枠がタマゴ型オブジェクトの一部。
オレンジ丸で囲まれた部分はH型鋼材の切断面が見えています。この新駅は旧東急文化会館(プラネタリウムがあったビル)を解体した跡地の地下部分に相当するらしく、所々にこういった既存構造物を解体したような跡が残っていました。(まさか、新築部分でわざわざH鋼の断面がモロ見えの仕上げにしないよねぇ?)


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この新駅のもう一つの"売り"・・・自然換気。都心の新しい路線とくれば、既存の地下構造物を避けるため地下深くなってしまうわけだけど、その深い地下ホームから地上まで巨大な吹抜けが作られていて、自然換気が可能になっているのです。これで換気のためのエネルギーが不要になってCO2削減・・・という理屈はともかく、常にごみごみとした都心の地下駅に広々とした大きな空間(人によっては、そんな大きな空間を遊ばせておくなんてもったいない!なんて言う人もいるかも)は気持ちいいですね。地下ホームから直接、空が見えるわけじゃないけれど、吹抜けの広がりは感じられます。


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↑上から見下ろすとこんな感じ。


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改札のあるフロアから、外につながる空間を見てます。
オレンジの丸は、例のH鋼切断面が見えている所。


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その、天井部分を見上げると・・・。


https://blogs.yahoo.co.jp/IMG/ybi/1/28/c9/yama2005_04/folder/1494438/img_1494438_53715241_6?1213549080

そして、外へ大きく口を開けた巨大な空気ダクトの断面には、やはり既存設備を切断・解体した跡が。
(オレンジ枠部分)
まだまだ工事途中という雰囲気・・・まぁ、東横線の乗り入れ工事はまだ残ってますからね。


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こちらも改札フロアにて。青枠は地宙船の外殻の一部。
広いフロアに突如として(?)現れるドア(赤枠)。ドアの周囲は何もなく、通路でも部屋でもない。一見、無意味にも見えるけど・・・
カンの良い人(あるいは建築業界の人)ならピンとくるでしょうね・・・そう、この2つのドアの間、黄色矢印で挟まれた所には防火シャッターが格納されていて、万が一の火災発生時にはそのシャッターが降りくる構造になっているのです。無論、手前のドアの手前側の天井にもシャッターが格納されていました。ドア枠にスッと1本スジが入ってますが、それがシャッターのレール。で、そのシャッターが降りて「壁」が形成された時の避難口が、このドアというわけです。
地宙船を実現させるためのデザイン上の苦労があったんじゃないかな、なんて思ったりもするのだけど、設計のプロだったらどうってことないのかも。施工のほうがたいへんかな。ちなみに、緑矢印で示した黒い部分・・・ここには監視(防犯)カメラ、火災感知器(煙感知器)がさりげなく仕込まれておりました。

注)写真右下のオレンジの黒の縞の物体・・・いわゆるトラロープでもなんでもなく、この時使ったデジカメにつけていたハンドストラップが写りこんでしまいました。撮る時にちゃんとモニター確認しろよー!ってことで(苦笑)。